ハクスリーと麻薬

 ハクスリーは『すばらしい新世界』という有名な小説を書いた作家です。

すばらしい新世界 (講談社文庫)

すばらしい新世界 (講談社文庫)

 それと同時に彼は神秘主義研究の分野でも有名で、そのために自らに幻覚剤を注射して、ヨガや禅による修行と麻薬による幻覚の違いについて(それが同等のものであると)説いていたり、サイケデリックという言葉の生みの親のひとりと言われていたりする人なのです。

 彼についていろいろ調べていると、彼の言葉の麻薬に人がいかに影響されているか知ることができます。というより、言葉の麻薬性について考えさせられます。

 幻覚を体験することは神秘的であるのだろうけれど、それが素晴らしいことなのか、怖ろしいことなのか。もし、ある種の麻薬が私たちの感覚の箍を外してしまうのだとして、それが素晴らしいことなのか、怖ろしいことなのか。
 そういった判断を排除することのできる力を、彼の言葉たちは持っています。
 そして実際に、彼の言葉に従って幻覚剤を注射した人が大勢います。

 どうして人はそれほどまでに言葉に操られてしまうのでしょうか?